Tansaという調査報道メディアがある。まだ規模は小さいけれど、ジャーナリズムの「本道」を歩む気概を示している。その渡辺周編集長と若い記者たちをArc Timesの尾形聡彦編集長から紹介してもらった。Arc Timesも小さなネットニュースだけれど、登録者が20万人を超えた。地方紙くらいのサイズである。
これくらいのサイズの「ミドル・メディア」がこれからの報道の主流になるかもしれないと思う。日本の大手メディアがもう使い物にならなくなっているからだ。
日本の「報道の自由度」は世界62位である。先進国で日本より下にいるのは米国(64位)だけである。鳩山政権時代に世界11位だった報道の自由度がここまで下がったのは米国のように強権による弾圧を受けたせいではない。
自分から進んで権力におもねって、自分で自分の「牙」を抜いてみせて獲得した62位である。アメリカよりずっとたちが悪い。
だから、メジャーなメディアから次々と記者たちが脱出している。TansaもArc Timesも立ち上げたのは元朝日新聞記者である。若い記者たちにも元新聞記者、テレビ局員がいる。
彼らの間では、大手メディアはもうジャーナリズムの仕事をしていないという認識が共通している。でも、誰かがジャーナリズムを担わなければならない。だから、ミドル・メディアが登場してきたのである。
何かアドバイスをと求められたので、「身の程を知るな」と申し上げた。今の日本を覆い尽くしているこの重たい空気は「身の程を知れ」という命令に集約される。
自分がこの社会でどの程度のステイタスなのか、どのニッチを占めているのか、まずその「客観的評価を知れ」という圧力がのしかかっている。査定され、格付けされ、全国民一覧表のどこに自分がランキングされるのか、それをまず知れ。
それが「本当の自分と出会う」ことであり、「自分探し」なのだ。若い人たちはそう教えられてきた。だから、「エゴサーチ」を止められない。
でも、日本が戦後ある時期まで異様に元気だったのはみんなが「身の程知らず」だったからだ。それが失われたせいで日本は衰退した。君たちは身の程を知るな、そうアドバイスした。